STORY 01

「Only RYOYO」を体現する、
独自の音声認識技術への挑戦。

開発、設計、そして検証というものづくりの機能を商社機能と連結することにより、他社にはけっして真似のできない付加価値を生み出す。「Only RYOYO」に挑む3人のエンジニアに、オリジナル音声認識技術の開発について聞きました。

PROFILE (2020年 取材当時)

  • 村田 淳
    • 技術戦略本部
    • 応用開発第一部 部長
    • 村田 淳
    • (2017年中途入社)
  • 越田 高広
    • 技術戦略本部 応用開発第一部
    • 第一グループ グループリーダー
    • 越田 高広
    • (2001年入社)
  • 菊田 敦
    • 技術戦略本部
    • 応用開発第一部 第一グループ
    • 菊田 敦
    • (1989年中途入社)
Q1.

プロジェクトがはじまった経緯、
概要を教えてくださいプロジェクトが
はじまった経緯、
概要を教えてください

RYOYOオリジナルの技術を実現する。

村田 淳
村田

商社としてのビジネスだけではなく、自分たちのオリジナル製品を生み出そうという「Only RYOYO」の方針のもと、私たちは2017年から独自の技術開発に乗り出しました。当時は、スマートスピーカーが広く普及しはじめた時期。マーケット調査を行った結果、音声認識ソリューションという領域にはまだまだ大きな可能性が広がっているとわかり、RYOYO独自の音声認識技術の開発をスタートさせました。

菊田
菊田

当時世に出ていた音声認識デバイスは、インターネットに接続して使うものが主流でした。そのためネット接続の設定がハードルとなり、そうしたデバイスに詳しくないお年寄りが使えない、といったことも少なくありませんでした。せっかく便利な技術なのに、本当に必要とする人に届いていなかったのです。難しい接続や設定を必要とせず、設置するだけで使える音声認識デバイスがあれば、もっと多くの人のためになるのではないか。開発にあたっては、そんな想いもありましたね。

越田
越田

当社独自の技術開発を重ねて、現在は音声操作が可能なシーリングライト、TVリモコンなどさまざまな製品がお客様との協働から形になってきています。菊田が言ったようにネット接続を必要としない、いわゆる「スタンドアローン」での音声認識が可能である点が、これらの製品の大きな特徴となっています。

Q2.

開発・製品化の流れを教えてください開発・製品化の流れを
教えてください

初の特許取得、そして製品化へ。

菊田
菊田

まずは何よりも、技術的な土台がなければ製品はつくれません。私は、独自の音声認識エンジンの開発を進めていました。これは、入力された音声を細分化し、文法・文脈のなかから適切な単語を類推する認識システムです。たとえば、「でんきをつけて。」という一文。もし最初の「で」の発音が弱いと、「”てんき”をつけて」になってしまいますが、これでは日本語として意味が通りません。そこで、「〜をつけて」という後半の文脈から類推し、意味が通るのは「電気をつけて。」だと、トータルで判定できるようにしたのです。

村田 淳
村田

この独自の音声認識エンジンは、のちに特許も取得しています。こうした開発を進めながら、技術的土台がある程度固まってきたところで最初の試作機を製作しました。そして、かねてから取引のあった家電メーカーにその試作機と独自の音声認識エンジンをはじめとする当社の技術を紹介したところ、商社でありながら高い開発技術を持っていることが認められ、その家電メーカーが開発を検討していた音声操作シーリングライトのなかに、RYOYOの音声認識技術が組み込まれることになったのです。こうして私たちの音声認識技術が、製品として初めて世の中に出ることになりました。

越田
越田

製品化をスムーズに決定できたのは、商社としてパートナー様と築いてきた信頼や実績があったからこそだったと思いますね。「あるものは探す、ないものはつくる」という姿勢で、自社の技術とパートナー様の技術との化学反応を起こして、世の中に新しい価値を提供できることが、RYOYOのものづくりの魅力でもあるのではないでしょうか。

Q3.

開発のなかで、
開発のなかで、
どのような点に
どのような点に苦労しましたか苦労しましたか

地道に着実に、課題をクリアする。

越田
越田

製品のなかで使用する半導体部品を何十種類も検証したり、音声認識用のマイクを100種類以上試したりといろいろありましたが、いちばんは音声認識率を高めていくプロセスでしょうか。

村田 淳
村田

そうですね。音声認識というのはAI技術の一つ。まずはAIに大量のデータを学習させることが必要で、この学習させるデータを「教師データ」と呼びます。当初は数百人程の音声を教師データとして集めれば音声認識率を製品化のラインまで高められると見込んでいたのですが、実際の数値はその想定を大きく下回りました。教師データを追加学習することでようやく目標値近くに到達しましたが、今度は特定の発話者グループにおける認識率が、極端に低いことが新たに判明してしまいました。当時の私たちは、「これでは製品として成り立たない」という、非常に厳しい現実を認めざるを得ませんでした。
その原因を徹底的に分析した結果、特定の発話者グループに共通する特徴を抽出でき、期限内にこの問題を解決することができました。コストと時間の制約があるなか、なんとか全体の認識率を製品化水準に高めることに成功したのです。

菊田
菊田

音声認識の開発にあたっては、一にも二にも教師データの内容・質が大事。この開発のなかで、身をもって実感しましたね。

越田
越田

音声操作シーリングライトの開発のあと、音声操作TVリモコンの開発もスタートしたのですが、あらかじめ対策を盛り込んでおくことで、この問題はクリアできました。開発を重ねながら、少しずつですが着実に前へ進んでいると思います。

村田 淳
村田

音声認識やAIというとスマートなイメージを持たれるかもしれませんが、これらもれっきとしたものづくりの対象です。ものづくりはすべて地道で泥臭く、課題を一つひとつ乗り越えていくエネルギーのいる作業の積み重ねです。この作業量で、お客様の満足度が決まってくると言っても過言ではありません。

Q4.

RYOYOの音声認識技術が、
RYOYOの
音声認識技術が、
今後目指すことを教えてください今後目指すことを
教えてください

「Only RYOYO」を牽引しつづける。

越田
越田

私たちが取り組んでいるのは、“商社”での技術開発という新しい挑戦です。商社ビジネスのなかで発見した「世の中のニーズ」と、技術者として自分たちが「やりたいこと、つくりたいもの」をかけ合わせて、自分たちにしか生み出せない価値を広めていきたいですね。音声認識に関しても、独自技術を核としてさらに開発を重ねて、より高精度かつお客様に長く使っていただける音声認識システムをつくりたいと考えています。

菊田
菊田

認識精度を高めていくことで、たとえば高齢者の方や発話が困難な方にも、もっと役立ててもらえるはずです。あらゆる人に喜んでもらえる、暮らしを豊かにできる、そんな製品を世に出していきたいですね。

村田 淳
村田

RYOYOは、大手メーカーほどの潤沢な開発環境が整っているわけではありません。ですが、これまで商社として多くのお客様・パートナー様とともに、多様なビジネスに関わるなかで培ってきた知見、アイデアが蓄積されています。その資産を最大限に活かし、求められる社会貢献を具現化することにより、さらに存在感を高めていきたいと思います。

まとめ

長い歴史で培った知恵と情報力で市場のニーズを分析し、そこに会社としての「やりたいこと、つくりたいもの」をかけ合わせ、世の中にまだない新しい価値「Only RYOYO」を創造するのが菱洋エレクトロの開発エンジニアです。地道な努力の積み重ねの先にあるお客様の豊かな暮らしの実現を見据え、泥臭くも毎日前進するエンジニアの姿がありました。

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