STORY 02

日本発の内視鏡AIを
世界へ、未来へ。

RYOYOは2019年9月、内視鏡の画像診断AIソフトウェアを開発するベンチャー企業、AIメディカルサービスとの資本提携を発表しました。目指したのは、AIを活用した高精度がん診断システムの開発・実用化。プロジェクトを主導するソリューション事業本部の社員に話を聞きました。

PROFILE (2020年 取材当時)

  • 青木 良行
    • ソリューション事業本部
    • 副事業本部長
    • 青木 良行
    • (1996年入社)
Q1.

プロジェクトがはじまった経緯と、
概要を教えてくださいプロジェクトが
はじまった経緯と、
概要を教えてください

「医療×AI」への挑戦

青木 良行
青木

当社は以前から、世界トップクラスの半導体メーカー「NVIDIA」の一次代理店として、画像処理用のGPU(半導体チップ)を取り扱っています。もともとはゲームなどに使用されるGPUでしたが、2014年頃からディープラーニングなどAIへの活用が図られはじめました。それに合わせ、RYOYOでも画像認識をはじめとするAI領域に注力することに。AIが今後どのような分野で活躍するようになるのか、市場調査や社内での議論を重ね、「医療×AI」という分野に着目したのです。当社ではこれまでも、CTやMRIといった従来の医療機器用向けに、部品選定・提供を手がけた実績が豊富にあります。そのなかで、GPUの重要性について認識しており、「医療×AI」という未知の領域でもその知見を活かせると判断したのです。

AIメディカルサービス様との内視鏡AI開発プロジェクトは、この流れのなかでスタートしました。内視鏡AIとは一言で言うと、“画像認識技術を活用した診断支援システム”。内視鏡の映像をAIが解析し、病変をモニタ上にリアルタイムに表示することでがんの見逃しを防止する、というものです。この開発のなかで私たちが提供しているのが、NVIDIA製のGPUと日本HP社製のワークステーション(高性能コンピュータ)です。双方の一次代理店であるという強み、そして、これまでの医療業界での導入経験を活かして、開発支援とハードウェア選定を実施しました。

Q2.

プロジェクトの流れを教えてくださいプロジェクトの流れを
教えてください

お客様の要望・期待を超えていく。

青木 良行
青木

まずは要件定義(ニーズの明確化)や開発スケジュール、要望事項の細かいヒアリングからスタートしました。AIメディカルサービス様が重要視していたのが、高度な製品性能に加えて、「長期供給」と「病院での保守体制」。同じモデルを継続して使いたい、そして現場で何か不具合があった時にはすぐに対応してほしい、という点でした。

RYOYOが一次代理店として取り扱うNVIDIAのGPU、日本HPのワークステーションなら、性能・供給体制・保守体制といったすべての要望をクリアできます。競合コンペを経て、RYOYOが開発支援を行うことが決定しました。現在、国内の医療分野で使われているNVIDIA製品のほとんどが、RYOYOが提供したものです。その豊富な実績も、AIメディカルサービス様の信頼をいただけた大きな要因でした。それから実は、私は理系学部出身で、営業という立場でありながら技術的な知識に精通していたことも大きいですね。 その後、開発のなかで挙がってくる要望に合わせて製品スペックの改良を行ったり、その都度最適な製品を選定したりと、さまざまな形で支援を実施しました。 技術商社としての私たちの価値は、ただ商材を仕入れて売る、という点にはありません。内視鏡AIがどのような仕組みで、求められている製品にはどんなスペックが必要か。考えうるトラブルは何で、そのためにどのような調整や改良を行うべきか。そうした、まさに「技術サポート」を通じてお客様のビジネスを後押しすることが、RYOYOの大きな価値だと思います。

Q3.

プロジェクトのなかで、
どのような点に苦労しましたかプロジェクトのなかで、
どのような点に
苦労しましたか

小さなミスが命取りになる。

青木 良行
青木

がん診断は、人の命に直接関わる技術。私たちが提供する製品にも当然高度な品質が求められます。医療以外の分野であれば問題にならないような、GPUの小さなキズや汚れすらも、画像診断の精度に影響してくる恐れがあるのです。そのため、細心の注意を払いながらプロジェクトを進めていく必要がありました。たとえ、こちら側でそうしたトラブルが発生しても、AIメディカルサービス様のプロジェクトはスケジュール通りに進んでいきます。起こりうるトラブルを事前に察知・先回りしながら、プロジェクトをリードしていく必要があったので、その点は苦労しました。

また、医療業界への新技術の参入障壁の高さもひとつの壁でした。失敗が許されない医療の領域で、まったく新しい技術を取り入れるということは、病院や医療メーカーにとっても非常に大きな挑戦だったのです。さらに、薬機法をはじめとした各法規制をクリアすることにも苦労しつつ、課題を一つずつ乗り越え、ようやく実用間近のところまでたどり着くことができました。

Q4.

プロジェクトの今後の
展望を教えてください

日本発の内視鏡AIを世界へ。

青木 良行
青木

ここ数年で、臨床(診察・治療)の現場でのAI活用は大きく進んでいます。最近だと新型コロナウイルスの影響もあり、大量の患者さんに対していかに正確な診断を行うか、というのは医療業界全体の大きな課題の一つです。AI活用に関して、以前は一部の医師から「自分の仕事が奪われるのでは」という不安の声も聞こえてきましたが、最近では前向きにAIの力を取り込んでいく風潮が強まっていると感じています。医療現場におけるAI活用の土壌が出来てきたなかで、私たちが関わるこの内視鏡AIも、より多くの医師や患者さんのために広めていけると信じています。海外にもこのビジネスを拡大するべく、全世界への供給網や、世界中での24時間対応の保守体制など、グローバルビジネスをサポートする体制の整備を進めているところです。
日本の内視鏡医療技術は、世界でもトップクラス。日本発のAI技術として、世界中へ、このプロジェクトを展開していきます。

まとめ

企業の実績は信頼とチャンスにつながります。菱洋エレクトロは、実績に基づく大きな信頼をけっして損なうことのないように、お客様のビジネスを後押しするための綿密なサポートや、お客様の業界の勉強を欠かしません。近い将来、「医療×AI」というアプローチで日本の医療に一石を投じ、そしていつかは日本発・世界のRYOYOとして活躍するビジョンを明確に描く社員の姿がありました。

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